☆香月の庵リターンズ☆
原作アラミススキー。「アニ三アラミスは原作アラミスの好みのタイプだよね!」というコンセプトのもと、原作アラミス×アニ三アラミスという異色カップリングをネットの片隅で限りなく追求しています。あと原作考察(ほぼアラミス関係)。
アラミスの性格は言われているほど悪くないと思うという話
- 2014/05/10 (Sat) |
- 勝手に原作考 |
- CM(1) |
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前回面白がって妙なテンションで書いたものを読み返してたらその余りにも妙なテンションぶりに恥ずかしくなったからなのか、気持ち吐き出して冷静になれたからなのか、「その約束が他のどれよりもアテにできそうにないように思われたアラミス」の部分について、ショックの方が大きくなってきている今日この頃です(;_;)。
いやーだってさー、あのシーンは「物理的に難しいことだと思われていたことをアラミスはいとも簡単にやってくれた」っていうことだとずっと思ってたからさー、「アラミスすごい!さすが策士!しかも言った以上のこともやってのけたなんて!!」ってアラミスの相変わらずのすごさっぷりをアピールしてるシーンだとばかり思ってたからさー。
冷静になったら色々思い出したんだけど、私最初に読んだ時、「その約束が他のどれよりもアテにできそうにないように思われたアラミス」の意味が良く分からなかったんだよね。だから「スペインから中立を取り付けることはほかの交渉より難しい」んだと都合良く解釈したんだわ。そもそもスペインの中立なんてイギリスの出方次第なわけで、ってことはアンリエットの交渉次第ってことになるわけだし…。
なのにまさかそんな…ねぇ?文字通り文字通りの意味だったとは(;´д`)(オンラインで公開されている別の中文版「ブラジュロンヌ子爵」でも似たような訳になってたから間違いないと思う。似たような訳…っていうか、よりストレートな言い方してたけど…「彼の約束は他の人にとっては一番信用できないものだが」っていう。角川版は…どうだったかなぁ。この部分あったかしら)
でもね、1部と2部、そして3部でも国王すり替え以外に関してはアラミスは友達との約束はしっかり守っているわけで、ポルトスだって「君は約束を守る男だ」と言ってる(11巻24章)わけだから、「アラミスの約束はアテにならない」「信用できない」わけではないと思うんだよ。
おそらくは「今までは腹の底では何考えてるか分からない人ではあったけれど、彼の今の言動には策略も陰謀もないんですよ。ポルトス失って以降はもう完全に懲りて真人間(失礼)になりました」っていうことをアピールするための文章なのかもしれないけれど…それはそれで却って彼が負った心の傷の深さをまざまざと見せつけられているような気がして居たたまれないんだよね。
あれだけ傷ついている描写やったんだから、もうそれ以上彼の胸中を強調することないじゃん!って…。
そもそも私、ポルトスの死は不幸な偶然であってアラミスのせいでは全然ないって思ってるし、国王すり替え自体も「あの時点で皆が幸せになれる唯一絶対の手段」だとさえ思ってるくらいだから…。
ついでだから書くけど、この部分以外にも何かと作中性格悪く言われてることの多いアラミスだけど、私は結構精神的に強くて気高い心の持ち主だと思ってるんだよね。
だって世の東西を問わず、こういう策謀家の権力者って、ひとたび失敗するとその責任を部下になすりつけて、自分は何事もなかったようにのほほ~んとしてるのが多いじゃない?でもアラミスは、「自分が陰謀の筋書きをたてて実行し、失敗した。フーケ様をはじめ自分の大切な友達のためにやっていると思っていたけれど、それすら独りよがりだった。自分の自己満足でしかなかった。悪いのは全て自分」って言って(ことここに至るまでのいきさつや、11巻でアラミスがアトスとポルトスに語った内容を要約するとこんな感じだよね?)、自分以外の誰を責めるわけでも、ましてや誰かに罪をなすりつけるでもなく、自分一人が罪を引き受けるつもりでいるわけでしょ?
ポルトスの死についても、特に誰かに言い訳するでも誰かのせいにするわけでもなく、じっと一人で悲しみと罪悪感に耐えているわけだし…。アトスとダルタニャンにもちゃんと事の顛末報告してるわけだし…。事件からそんな時間経ってないときに、自分が大きく傷ついたことを文章にして客観的に書いて送る(しかも2通も)なんて、なかなかできることじゃないと思うんだよねー。自分の心の傷に塩をぐりぐり塗りたくるようなもんじゃないか。私だったら絶対逃げちゃうと思うんだ…。むしろこういうシチュエーションに陥った場合、努めて忘れようとする人の方が多いんじゃないかな。
それ考えると、アラミスってすごく精神的に強いというか、確かに貪欲で狡猾で腹黒くて何考えてるか分からない部分はあるけれども、その反面、作中に出てくる「高潔な精神(の持ち主のキャラ)」とは別の意味で潔く、気高い精神の持ち主で、誠実な人柄も兼ね備えてるんじゃないかと思うんだよね。人間できてるっていうか。
(というか、作中「高潔な精神の持ち主」と評されている人って、事が起こった当初は素晴らしいこと言ってるけど、時間が経つとウダウダぐだぐだ煩い気がするのは気のせいですか?f^^;)
…アラミスが晩年、幸せのうちに死んでいく話というのを今無性に読みたいです。
拍手、ありがとうございました☆
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COMMENT
こんにちは!
前回と今回の記事も、興味深く読ませていただきました~。
取り上げてらした箇所、記事を読んで自分でも気になってしまったので、原文見てみました。
よけいなお節介かとは思ったんですけど、ご参考までに…。
Enfin Aramis, celui de tous sur les promesses duquel on pouvait le moins compter, écrivit à Colbert la lettre suivante, au sujet des négociations dont il s’était chargé à Madrid :
最後にアラミス、その約束はすべてのうちでいちばん期待できないように思われたが、彼は、マドリードで交渉すると請け負った件について、コルベールに次のような手紙を書き送ってきた。
原文を見てみた感じでは、ダル物の訳そのまんまって感じです。les promesses(その約束)と特定してますし、手紙のあとで「約束した以上のことをした」とあるので、ここでいう約束とは、前の章でコルベールと話していた件かと。なので、アラミスの請け負った件が、前の章でいろいろ相談されていた話の中では最も実現の可能性が低い、というふうに読めると思います。
le moins compterは「当てにできそうにない」と訳されてますが、compterは「数を数える、勘定に入れる、→(重要なものとして)カウントする、期待する、当てにする」といった意味の動詞なので、「信用できない」というのとはちょっと意味が違うのかな?という気がします。ましてや「アラミスの言うことは信用ならない」というニュアンスではないと思いますが…。関係代名詞でles promesses(その約束)にかかってますし。
私は当時の国際情勢とかさっぱりなので、そのまま単純に、アラミスが担当した交渉がいちばん難しい、またはスペインの大使となっている彼の立場上、フランスのことばかり考えて行動するわけにもいかないだろうから、コルベールも「あなたもフランス人なんだからお願いしますよー」と頼んでみたものの、難しいだろうなーと思ってたとか、そういうことだと思ってました。
だから、約束した以上に話をまとめてみせたアラミスすごい!と思うと同時に、ダルタニャンの言う「外交がお前に生きろと求めている」と、その通りの晩年をおくったんだろうなあ、なんて思いました(・・*)ゞ
私のフランス語読解力もはなはだあやしいですし、どう捉えるかは読んだ人それぞれだと思いますけどね(^^) 長々と失礼しましたm(_ _)m
Re:こんにちは!
そうですよね~。ここはやっぱり「約束した以上のことをしたアラミスすごい!」「さすが司教猊下!!」って彼のこと讃えるシーンですよねっっ!!
まぁもしかしたらデュマ先生はどちらにも取れるような書き方したのかもしれませんけど…(「アラミスまだなんか企んでるんじゃない?」って思ってる人には「そうではない」、「これ別にアラミス何も企んじゃいないだろ」と思ってる人には単に難しい交渉をやってのけた、さすがアラミス!と思えるような…)。
先日たまたま、中国のダル物スキーさんたちがダル物について語っている掲示板を見つけたのですが、そこでも「中国語ぶっちゃけすぎ(;´д`)」って言って英文紹介している人がいたので、そもそもが「ちょっと言い過ぎ」な文章なのかもしれませんね。
(ちなみにそこで紹介されていた英文は「whose promises there was least dependence to be placed」でした。しかしこの英文もはっきり言っちゃってるような気がするんですよね…だって promises って複数形になってるし、 promises にかかるbe動詞過去形だし…)
…中国語ももうちょっと奥ゆかしく、オブラートに包んだ言い方してくれればよかったのになーと思います。(まぁそういうの苦手な言語っていうのもあるんでしょうけど…^^;)